こちらの作品は
須田国太郎「鳥」です。
この重厚な色彩の中に、存在感のある鳥のシルエットのような佇まいと奥の山に射す光がなんとも神々しく美しい作品です。
当時多くの画学生がパリに拠点を開く一方、須田国太郎はスペインのプラド美術館で多くの模写をして学びました。
ティッツァーノ、エルグレコ、最後はゴヤにたどり着きその光と影に魅せられました。
こちらは須田国太郎がエルグレコの「復活」(キリストが勝利を表す純白の旗を持ち、地上へ福音を伝えるポーズで死から蘇る)を模写した作品です。
模写を通して、光と影の表現を学びそこから自分の画風を確立していきました。
主題を影に潜ませていくその手法で「黒の画家」と称されました。
ただ、ちゃんとこの鳥には目も描かれていてどこか遠くを見つめるその姿も魅力的です。
この須田国太郎の光と影の世界。
いつまででも見ていられます。
(文/青龍堂店主)
須田国太郎 「鳥」
33.4㌢×45.4㌢
キャンバ・油彩
東京美術倶楽部鑑定
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