6/15(火) 「都一中シンポジオン 第10シーズン」
今回は10シーズンの最終回 常磐津「夕月船頭(ゆうづきせんどう)」
江戸でもっともカッコいい船頭の粋でいなせな姿を描いた歌舞伎「四季写土佐絵拙(しきうつしとさえのふつつか)
弘化4年(1847)11月、江戸市村座で四代目市川小團次が初演した七変化舞踊のひとつ。
小團次が上方で修行し帰ってきた際のお披露目舞台ということで大阪の淀川が舞台ですが、その後、江戸式に踊られるようになったようです。
「雷船頭」「月の船頭」「大津絵船頭」「佃船頭」など、船頭ものは数多くありますが、その中でも上演頻度が最も高いのはこの夕月船頭だそうです。
他の船頭ものは全て隅田川が舞台で、吉原に出入りをしていた粋でいなせな船頭さん。
面白い資料がありましたので以下にご紹介します。
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船頭は江戸時代後期、鳶の者と並んで最も鯔背(いなせ)な生業とされていた。多くの輸送業と同様に迅速さが要求され、また水上という危険がともなう職場故に覚悟を決めた俠客的な気風が育まれたと言える。行き先も花街が多く、彼らを抱える船宿自体も遊興の要素を兼ね備えていたので、粋の美学がより洗い上げられたのだと思われる。自ずと芸者衆の情人になる場合も多く、「一人船頭、一人芸者」が禁ぜられた事もあった。芝居の舞台でも、生世話物が流行されるよりになると、江戸っ子を代表するキャラクターとして登場した。人々が憧れたこの美学を凝縮されて、一幕の所作事に仕立てたのである。衣装はたいていすっきりとした首抜きの縮緬浴衣で、清涼感にあふれている。
(比較日本学研究センター研究年報 創刊号 から抜粋)
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鯔背/いなせ 意味:いなせとは、粋で勇み肌でさっぱりしているさま。また、その容姿や、そのような気風の若者。 語源・由来:いなせは、江戸日本橋魚河岸(うおがし)の若者の間で流行した髪型に由来する。その髪型は、魚のイナ(ボラの若魚)の背に似ていることから、「鯔背銀杏(いなせいちょう)」と呼ばれた。そこから、魚河岸の若者(鯔背銀杏を結った若者)のように、粋で勇み肌の者を「いなせ」と呼ぶようになった。
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真っ直ぐに結うのではなく、イナの背中のようにゆったり曲がっている髷。当時の腕っ節のいい若者達のお洒落だったのでしょうね。鯔(ボラ)は30㎝以上、イナは18㎝〜…確かに頭に乗せる髷はちょうどそのくらいの大きさかもしれないですね。
日本は魚の呼称も豊かで「出世魚」といい、呼び名が変わります。
鯔だけでも
ハク、キララゴ・・3cm未満
オボコ・・3~10cm
スバシリ・・10~18cm
イナ・・18~30cm
ボラ・・30cm以上
トド・・特大
「トドのつまり」という言葉はこの最終的なボラの名称に由来するそうです。
江戸の豊かな文化、とても面白いですね。
次回からは、いよいよ「都一中シンポジオン」第11シーズンが始まります。
【日時】2023年
第一回 7/18 (火)一中節「辰巳の四季」
第二回 8/31 (木)常磐津「夕涼三人生酔」(ゆうすずみさんにんなまよい)
第三回 9/28 (木)一中節「小町少将道行」(こまちしょうしょうみちゆき)
第四回 10/20(金)常磐津「紅葉狩」
第五回 11/16(木)一中節「松襲」
第六回 12/19(火)一中節「三番叟」(さんばそう)
18時~受付 18時半開始 21時頃終了予定
【会場】新宿京懐石 柿傳 6階古今サロン
【会費】各回10,000円(税込)※点心付き(飲物別途)
〔お申し込み〕
新宿 京懐石「柿傳」Tel: 03-3352-5121 Fax: 03-3350-5111 メール: mail@kakiden.com
皆様のご参加をお待ちしております。
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