前田青邨や安田靫彦は古美術収集でも大変有名でした。
過去の偉大な美術品に対する畏敬の念や所蔵品に対する愛着も感じさせます。
こちらの作品は青邨が描いた唐三彩(とうさんさい)の壺です。
陶器にかかる釉薬の質感も触れそうな質感で佇まいも愛らしい。
おそらく愛蔵品だったのではないでしょうか?
唐の時代において副葬品として制作された唐三彩は、緑、白、褐、藍など各色の釉薬をかけて焼いた陶器です。20世紀初頭の中国で、鉄道の工事中に出土しました。焼いている途中に釉が流れ、自然なまだら文様に見えるように工夫されています。
まだらに流れて浮かび上がる紋様を巧みに表現している前田青邨の凄さとモノへの愛情を感じさせる洒落た作品です。
(文/青龍堂店主)
前田青邨 「唐三彩」
27.2㎝×24.2㎝
色紙 彩色
東京美術倶楽部鑑定
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