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執筆者の写真青龍堂 店主

古賀春江の色彩感覚

古賀春江は前衛画家として有名です。代表作「海」などはそのモダンな画像が脳裡に焼き付きます。

(古賀春江 「海」1929年



古賀春江の作風は色々と変化していくのがおもしろいのです。初期の寂しげなセンチメンタルな水彩画に始まって、キュビズムの影響を受ける時代を経て、パウルクレーに触発された画風からシュールレアリズムに変貌していきます。



今回の作品はその1912年8月、17歳の頃描かれたもので、周囲の反対を押し切って上京する前後の水彩画です。


この作品の裏には1912年augustと記載があります。


当時のスケッチブックに「神楽坂 大正元年九月十三日 夜」という記載があり、この日以前に、彼は東京の神楽坂のお寺に寄寓したようです。よって、この風景は地元の久留米か神楽坂のどちらの可能性もあると言えます。

農村風景なので久留米の可能性が高そうですが、当時の神楽坂周辺にもこのような風景があったとも考えられるので断定は出来ないところですね。


発色はとても綺麗で、独特の色彩感覚とセザンヌ風のタッチや色使いがとても印象的です。17歳という年齢で、すでにこのクオリティを発揮していたのは驚きです。


さまざまな時代を経て古賀春江らしくなっていく中での、この初期の水彩画もこの作家を語る上では大切なピースとなっています。


(文/青龍堂店主)


作品情報

作家名:古賀春江 作品名:農村風景  サイズ:23.9×32.8㎝

紙 水彩

1912年8月

東京美術倶楽部鑑定あり









さまざまな時代を経て古賀春江らしくなっていく中でこの初期の水彩もこの作家を語

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